地方探訪 ―地方から世界へ 新しいビジネスの形を模索する―

地方の高齢化・過疎化が問題視されて久しいが、一方でネットの急激な普及により、仕事場が都心にある必要性を感じない人々も増えてきている。今、地方でどのような人々や産業が動き出しているのか。その現状をレポートする。(不定期更新)

【石垣島】2017.4
2017年4月、東京では桜が満開の季節に石垣島を訪れた。空港を降りると初夏のような日差しが照りつけており、東京から遠くに来たことを肌で感じる。
石垣島の商店街は半日もあれば歩いて回れる程度の小規模だが、昔ながらの市場や土産物屋に混ざって、若い移住者が開いたオシャレな店舗も見受けられた。その代表格である辺銀食堂は食べるラー油で数年前、一世を風靡した。WEBサイトも充実しており、今でもネットで情報を入手する若い観光客の心をつかんでいる。店内は狭く休日は予約なしでは入店できないようだが、平日のランチ時は中国や台湾からの若い客でにぎわっていた。一方で、ラー油購入時の注意点がサイトに詳細に書かれているのも気になった。人気店ならではの苦労も垣間見える。明るくオープンマインドなイメージの沖縄だが、小さな島ならではのご近所づき合いの難しさがあるのかもしれない。訪れる側にとって少々息苦しさも感じた。

また、まだ全国区ではないものの塩の専門店は目を引いた。「塩屋」石垣店に並んだ塩の種類の多さには驚かされる。料理に欠かせない調味料だけに、味へのこだわりの強い美食家たちやアジアの富裕層等へ、一時のブームではない息の長い人気商品として期待ができるだろう。
石垣の景勝地、川平湾に向かう海沿いには塩の工場「石垣の塩」があり見学もできる。小さな工房ではあるが、ガイドの案内も丁寧で、海水のろ過作業から選別、にがりの話まで詳しく教えてくれた。

沖縄といえばトロピカルフルーツというイメージがあるが、常夏ではないため生のマンゴーは夏にならないと食べられない。4月はようやくパイナップルの出荷が始まったころだったが、パッションフルーツジュースの製造元「川平ファーム」本店にも足を運んでみた。
ブラジルではマラクジャと呼ばれ、ジュースの定番フルーツとして人気がある。ブラジルでは黄色い果実だったが、石垣では紫の果実。種類も様々あるようだ。
川平ファームではフルーツドリンクの質にこだわりを持っているが、値段の高さが消費の足かせとなっていることも否めない。店主は「日本は品質の規制が厳しく果汁100%表示のハードルが高い。品質表示に厳しいお役所と、安さを求める消費者の間で苦しんでいる」と胸の内を語ってくれた。
短い滞在ではあったが、石垣や西表の観光産業は、島が好きな元気な移住者に支えられている感じを抱いた。古いものと新しいもの。それぞれの立場や言い分が違うため、時には対立することもあるだろう。だが対話を続けることで解決策も見つかり、よりよいアイデアも生まれるかもしれない。地方創生の可能性はまだまだ広がっていると感じた。

▲top ◆home